ファミレスにて
何度も行ったというほどではないけれど、ファミリーレストランというのはおれの好みの場所のひとつだ。夕食どきの忙しい時間をすぎてもまだ様々な客に雑然としていて、騒がしいけれどうるさいというほどではなく、席と席の間の仕切りの背が低いせいか、開放された雰囲気がある。広いガラス窓のむこうを流れる車のヘッドライトをぼんやりと目で追っていると、とがめるような声に邪魔をされた。目の前にいる後輩はもう四五杯目にもなるビールを飲みほしていた。
「先輩、(リア充っていうやつらは)他人の存在なんて信じてないんですよ。聞いたことはあるけど自分の周りにはいないって、思ってるんだ~」
別に飲みに来たわけでもないし安くもない酒をそんなに飲んでどうしようというのだ。おれはリア充という言葉をそういう風に使うのが好きではないこともあって、つっかかる。
「信じてないって、他人を伝説の存在だって思っているっていうことか? 一角獣≪ユニコーン≫のように? 処女の前にしか姿を現さないような存在だと?」
後輩は伝説、それはいいっすね、と行って喜んだ。
リア充が一般人に似ているのはなぜ?...